アフ郎は健康な食生活から

  • 2020.09.12 Saturday
  • 14:00

結婚してから二人暮らしが楽しいという話を散々日記に書いておいてなんだが、一人で過ごすのも悪くないと思っている。何だか悪いようだが、夫が出張などで帰らない日があるとはしゃいでしまう。あまり嬉しそうにするのも申し訳ないので、相手に言ったことはないのだが。

 

理由はご飯である。夫があまり食に興味を示さないという話を前にしたが、この人とはとにかく料理の好みがとことん合わない。私が好きなのは東南アジアの料理や、台湾の屋台ご飯などである。カレーは欧風よりインドカリーや、タイカレーが好きだ。辛いものや香辛料が全然平気で、暑い国の料理が口に合うのか、南米料理にも好物が多い。基本的に食い意地が張っているせいで、食べたことの無い料理を見ると、どんな味がするのだろう!?とそれだけで心が弾む。自然、歳を重ねると共に海外の食べ物に好物が多くなっていった。

 

対して夫の好物は、カレー・ラーメン・ハンバーグという、小学生男子の選ぶファミレスのメニューランキングトップ3の様相を呈している。カレーはもちろん、欧風……というか、家で作る肉と野菜を炒めてルーで煮た、いわゆる普通のカレーを何より好んでいる。辛いものが苦手で、香辛料は匂いを嗅ぐだけで辟易とした顔をする(こんなに美味しいのに!)。まだあまり互いの食の好みを把握していなかった頃に、一度インドカレー屋さんに連れて行ったら、食べられるメニューを探すためだけにむつかしい顔をさせてしまい、大変すまなかった。これなら美味しく食べられるんじゃない、と教えてあげたバターチキンカレーを、オアシスを見つけたような顔でチーズナンと一緒にむぐむぐ頬張っていた。

 

その他、野菜、甘いもの、嗜好品など、細かいところまでとにかく好みが合わない。そのうち、「これは自分が苦手ということは、きっと相手の口には合うのだろうな」という予測まで立つようになってきた。しかも互いにかなりの精度で当たる。そんなわけで、我が家にとって相手の不在は、自分の好きなものを好きなだけ食べるチャンスなのである。特に食べることを人生における無上の喜びとしている私サイドにとっては、ボーナスタイムも同然だ。

 

そういう理由で、一人で過ごす時間をもらえると、少なくとも私は嬉しい。この機会にあの店に行こう、どんな料理を食べよう、とワクワクしてそれだけで華やいだ気分になってしまう。普段から家事をやってもらったり仕事の相談に乗ってもらったり、あれだけ親切にしてもらっておいて相手の不在にはしゃぐのはやはり申し訳無いようだが、放っておかれても楽しく過ごせる才能の持主ということで、どうかご寛恕願いたい。

 

ということで、本日の昼ごはんは手作りした葱油餅(ツォンヨゥピン。台湾の屋台で人気の、小麦粉に青ねぎを練り込んで焼いたおやつ)、夕飯はネパール料理屋でダルバート(カレー定食のようなもの)の予定です。どちらも一人じゃないと作ろうとしないor食べられないメニューだ。幸せ気分を盛り上げるため、BGMも般若心経とか正信念仏偈とか中東のアザーンとか琵琶法師の平家物語とかをガンガン掛けて、それらの玄妙な響きににうっとり耳を傾けながら過ごす。これも一人じゃないとなかなかできない。以前いきなり爆音で般若心経のCDを掛けたら、「ホラー……?」と動揺させて可哀想だったので。

 

何だか趣味が合わないというより、全体的に私の趣味が偏っているのが悪い気がしてきた。いや、単なる趣味に良いも悪いも無いのだが。夜中にいきなり「テンションが上がったから」という理由で般若心経を流したりしても、「あるよね、突然アガっちゃうとき」と鷹揚に頷いて許容してくれる相手に感謝である。ちなみに音楽の趣味は、この日がたまたま般若心経の気分だっただけで、前の日にはマディ・ウォーターズとかマヘリア・ジャクソンをCDと一緒になって熱唱していた。我ながら滅茶苦茶だ。

 

共通で好きなものはあまり無いが、唯一、犬だけは二人ともが好きだ。犬を飼ったら楽しいだろうなぁ、とよく二人で妄想するが、今住んでいる家では飼えないので残念ながら諦めている。妄想が高じて、少し前まで我が家では架空の犬を飼っていた。名前はアフ郎。白くてフワフワした小型犬で、フワフワし過ぎて頭がアフロのように見えることから名付けた。散歩が大好きで(※そういう設定)、家の扉を出た瞬間から楽しそうに駆け出して、飼い主たちをよく困らせた(※そういう設定)。

 

こここまで書いてしみじみ思うが、(というか、折に触れ日々よく考えることなのだが、)夜中の般若心経やら架空のペットとかいうよくわからない微に入り細を穿った妄想にここまで付き合ってくれる人なぞ、この世に二人と居ないであろうからして、頼むから夫には長生きして欲しい。そのために必要なのは、やはり健康な食生活か。今日明日は好物だけを楽しむとしても、夫が帰ってきたら、好きなものばかりではなくバランスの良い食事を心がけよう。飼い主のことが大好きな(※そういう設定)アフ郎のためにも。

 

 

 

 

 

 

 

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